2009.10.22
セルローズファイバーによる屋根断熱工事
既存スレート屋根を撤去後、38mm×h184の垂木を新たに流し、屋根通気層を30mm確保して布シートを張り、セルローズファイバーを充填しました。
その後、合板を張りガルバリウム鋼板の段葺き仕上げをしました。
スレート屋根材の劣化の様子から、野地合板もおそらく傷んでいると思いきや、ほとんど被害がないのには驚きました。見るとアスファルトフェルトルーフィング20Kgが2枚重ねで張られており、下地の合板も厚みが15mmありました。ルーフィングは夏の暑さでスレートと一体化しており、剥がすに容易ではありませんでした。現在では釘に対するシールド性能も持ち合わせたゴムアス系や、防水性能と透湿性能を兼ね備えた不織布系等のルーフィングが主流となっています。が、どうでしょう、野地合板は12mmを採用しているところが大半ではないでしょうか。
この家は当時では珍しく設計事務所監理のもとで建てられたそうです。設計図書も手書きですが平・立面図はもとより、構造図面から詳細図面まで揃っています。当時の建築士の、家造りに対する姿勢が垣間見られ、あちらこちら現場の納めに反映されていおり、いろいろ学ばされることが多いです。外壁塗替え工事の後に控えている、内部のリモデル工事の打ち合わせや見積りに参考となり、顧客も業者にも仕事が読めて助かっています。この工事は、さいたま住宅生協様からのお仕事です。
2009.11.4
セルローズファイバーによる床防音工事
木造2階建てのアパートの改装工事に伴い、かねてから2階からの騒音問題に悩んでいたオーナーご夫婦から相談があり、2階から天井裏へのセルローズファイバー吹込みを提案させていただきました。自然な吹き積もらせな為、将来の自沈量を予測し、300mmの厚さを確保しました。
騒音問題は非常にデリケートで、TVの音声などにはこれだけでも効果的なのですが、スリッパの音等を含む歩行音についてはまだ不十分です。天井下地や吊り木の受け材に構造的な補強をし、吊り木材を全て防振タイプに付け替え、捨て張り合板を施工し、遮音シートを敷きつめてから、最後に化粧フロアを張りました。
残念ながら、2階床梁や桁材のサイズが一回り細い為、完全にはまだ低音が消えませんでしたが、以前と比べ飛躍的に改善されたのを、オーナーご夫妻には確認していただきました。
他の断熱材ではだめなのか
現在日本では、グラスウールやポリスチレン、ウレタンフォーム等の石油系断熱材のシェアが圧倒的に多い状況です。外張り断熱が良いというニュースが広まると、皆一様に採用しだしました。しかし、隣家からの火災で通気層が仇となり、家が全焼した事故や、固定ビスが熱架橋となるヒートブリッジ現象で、結露が壁内部に発生した実例、壁断熱材を留める際に、ビスが間柱から逃げて施工ミスを誘発しやすい声も、現場からあがっています。さらに重い外装材が負荷をかけることを想像してみてください。室内も耳障りな反響音に悩まされるのです。気密を確実に確保できる工法として外張り断熱が流行っていますが、いろいろな事例を熟知考慮して採用を考えるべきだと思います。
せっかく無垢木材や調湿建材を採用する自然派エコ住宅をつくるのなら、断熱材も古紙からできたセルローズファイバーにするのが素直な判断だと私は思います。究極の自然派住宅とは、木と土と紙の3つを主体とした家になるのです。
そして断熱材に求められる以下の性能が全て揃っている点でも、セルローズファイバーに優位性があるのです。イニシャルコストは高くつきますが、入居後の冷暖房機器設置費や光熱費が安くなりますので推奨いたします。エアコンやストーブ、加湿機や除湿機、必要以上の換気扇を使い分ける事を最初から必然とする家は、おかしいと思いませんか。
断熱 吸音 撥水・調湿 耐火 防錆 防虫 防カビ 安全性 省エネルギー(製造コスト・リサイクル)